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2024年に発表されたクロノグラフから、ベストだと思う5本を選出した。

どれも個性的でアイコニックな魅力にあふれた腕時計ばかり。選ばれるのが当然なモデルで占められているが、どこかドイツ的なセンスを感じるチョイスである。なお、ランキング形式ではなく、順不同だ。

ドイツ的2024年のベストクロノグラフがこれだ!
『ウォッチタイム』ドイツ版編集部が2024年に発売されたクロノグラフウォッチの中からベスト5を選出。アイコニックなデザイン、そして心をつかんで離さない文字盤のモデルばかりだ。なお、ランキング形式ではなく、順不同での紹介となる。

ショパール「アルパイン イーグル XL クロノ」チタンモデル
ショパール アルパイン イーグル XL クロノ
ショパール「アルパイン イーグル XL クロノ」Ref.298609-3008
自動巻き(Cal.CHOPARD 03.05-C)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径44mm、厚さ13.15mm)。100m防水。ショパールブティック限定。369万6000円(税込み)(問)。ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
 ショパールが満を持して発表した、「アルパイン イーグル XL クロノ」のチタンモデルが持つ並外れた魅力は、まずは文字盤にあるだろう。この文字盤から目を背けることは難しい。モデル名にも採用された、イーグルの瞳の虹彩からインスパイアされたラインが描き出す模様、そしてローヌ・ブルーと呼ばれるアイスブルーカラーが、実際のイーグルの瞳以上に魅力的な印象を与えている。

 時・分針およびアワーインデックスにはスーパールミノバX1が塗布されており、暗闇での視認性も申し分ない。文字盤とベゼルを含む、正面から見たデザインは、ケースやストラップといった、腕時計の他の部分と見事に調和していると言えるだろう。そう思わせる重要な要素は、ベゼル上4カ所にある2本のネジ。この意匠のオリジンは、1980年に発表された「サンモリッツ」にさかのぼるものだ。

 チタン製ケースの直径は44mm、厚さは13.15mmである。なお、リュウズとプッシャーは、ルーセントスティール製だ。自動巻きムーブメントCal.CHOPARD 03.05-Cは、クロノグラフ機構の制御にコラムホイールを採用。また、クロノグラフのリセット用に、エラスティックアームを備えた3つのハンマーが用いられている。『ウォッチタイム』ドイツ版の9月、10月合併号では、この腕時計をテスト企画で取り上げており、上位の成績を達成した。

ホワイト文字盤「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」
オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル
オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」Ref.310.30.42.50.04.001
手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。50m防水。125万4000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
スーパーコピー代引き専門店この腕時計に即座に反応するオメガファンは、長らくホワイト文字盤のムーンウォッチを心待ちにしていたに違いない。2023年11月にアメリカ合衆国・ニューヨークで開催されたイベント、プラネット オメガでのこと。6代目ジェームズ・ボンドであるダニエル・クレイズが、このホワイトのムーンウォッチを身につけて現れたのだった。これが本作の初お披露目となった。

 2024年3月初頭、オメガは公式にホワイト文字盤を備えた「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」を発表。すぐに話題となり、カルト的な人気を獲得した。ダブルドームのサファイアクリスタル製風防、ドット・オーバー・ナインティが記された、アルミニウムインサートベゼルが、この腕時計の特徴として挙げられるだろう。文字盤の外縁にはミニッツトラックが配されており、分と分の間は、搭載するムーブメントCal. 3861の3Hz振動(2万1600振動/時)に合わせて、3分割されている。

 手巻きムーブメントのCal. 3861は、シリコン製ヒゲゼンマイを備え、厳格な検査であるマスター クロノメーターの基準を満たしているため、1万5000ガウスの磁場に耐えることができる。パワーリザーブは約50時間、防水性能は50m防水だ。

 ブレスレットとストラップは、3種類から選ぶことができる。エクステンション付きのステンレススティール製ブレスレットを備えたRef. 310.30.42.50.04.001(125万4000円(税込み))と、ブラックカラーのラバーストラップを備えたRef.310.32.42.50.04.001(119万9000(税込み))、小さな穴の空いたレーシング仕様のレザーストラップが付属するRef. 310.32.42.50.04.002(119万9000(税込み))だ。

“パンダ”文字盤「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ Ref. CBS2216.BA0041
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」Ref. CBS2216.BA0041
自動巻き(Cal.TH20-00)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径39mm)。100m防水。94万500円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7030
 小さめサイズのクロノグラフには独特な魅力があり、そのファンは増加の一途をたどっている。“パンダ文字盤”のタグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」は、直径39mmというサイズに適したデザインがなされた腕時計だ。ステンレススティール製の本作の全体のバランスはとてもよく、一度着用すると手放せなくなるに違いない。それに加えて、絶妙な針の長さ、中心部分がへこんだマッシュルーム型プッシャー、盛り上がった外周部分を持つくぼんだ文字盤という特徴が魅力の源だ。

 この腕時計では、クロノグラフ機能に関する針はレッドカラーで塗られている。そのため、時刻表示に用いられる針と容易に区別することが可能だ。ボックス型のサファイアクリスタル製風防は、シルバーカラーの文字盤をフードのように覆っており、独特な印象を与えている。

 本作は裏蓋側も十二分に注目に値する。サファイアクリスタルを用いた裏蓋からは、自社製ムーブメントCal.TH20-00をながめることができる。コート・ド・ジュネーブで仕上げられたブリッジと、クロノグラフ制御用のコラムホイールを見て楽しめるのだ。「TAG HEUER TH-20 THIRTY-THREE(33) JEWELS SWISS」という文言が入れられた、スケルトン仕様の回転ローターにも要注目である。

“デューン”文字盤「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
IWC ポルトギーゼ・クロノグラフ
IWC「ポルトギーゼ・クロノグラフ」Ref. IW371624
自動巻き(Cal.69355)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.1mm)。3気圧防水。123万7500円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868
 良いプロポーション。これはIWC「ポルトギーゼ」の強みと言えるだろう。大きなサイズの腕時計として発表された、ステンレススティール製ケースの41mmのポルトギーゼは、実際の直径よりも大きく見える。この腕時計の細いベゼルのためだろう。このために、デューンと名付けられたサンドカラー文字盤をよく見わたすことができる。

 30分積算計が12時位置、スモールセコンドが6時位置という、インダイアルが垂直に配置されたレイアウトは、IWCのDNAを表現したものだ。サンセリフ体のアラビア数字インデックスと、繊細な針によって、本作の正面デザインはとても魅力的であり、マッシュルーム型プッシャーともマッチしている。搭載するムーブメントはIWCの自動巻きムーブメントCal.69355。付属するストラップはブラックカラーのアリゲーターストラップだ。

ジン「156.1」
ジン 156.1
ジン「156.1」
自動巻き(Cal.SZ01)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径43mm、厚さ15.45mm)。10気圧防水。92万4000円。(問)ホッタ Tel.03-5148-2174
 ジンが2024年9月に発表した「156.1」は、視認性に優れた興味深いデザインの文字盤と、注目に値する歴史的背景を持つ、傷に強いケースを組み合わせたモデルである。156.1はジンが1980年代から1990年代にかけて販売していた「155」と「156」の系譜に属するモデルだ。「155」はホイヤーによるドイツ連邦軍のRef.1550SGを、ヘルムート・ジンがブラッシュアップした腕時計である。

1994年にオーナーとなったローター・シュミットは、ケースの改良を行い、いくつかのモデルにそのケースを採用。2024年に発表された最新モデルに至るまでこのケースは採用されている。本作の特徴はいくつか挙げられるだろう。まずはジン自社製の自動巻きムーブメント、Cal.SZ01を搭載していることだ。加えて、航空機の機体をあしらった60分積算計用の針と、耐傷性に優れたテギメント加工が施され、蓄光塗料により夜間でも高い視認性を誇るベゼルが挙げられるだろう。ストラップ、ブレスレットの選択肢の幅の広さも特徴と言える。

 156.1のベゼルは広く、実際の直径である43mmよりも小さな印象を受ける。前出のIWCのポルトギーゼ・クロノグラフとは対照的だ。

グランドセイコーには、通称「白樺モデル」と呼ばれるモデルが存在する。

「エボリューション9 コレクション」のRef.SLGH005とRef.SLGA009だ。なぜ白樺と呼ばれているのかを明らかにするとともに、2モデルの特徴や違いも併せて解説する。

グランドセイコーの“白樺モデル”とは
グランドセイコーの白樺モデルRef.SLGH005とRef.SLGA009は、前者が2021年、後者が2022年に発表されたモデルだ。まずは、これら2モデルの特徴と違いを見ていこう。

白樺パターンの文字盤を備えたRef.SLGH005とRef.SLGA009
Ref.SLGH005とRef.SLGA009は、いずれも白樺をモチーフとしたダイアルを備えている。2モデルが「白樺モデル」と呼ばれるゆえんだ。

なお、グランドセイコーには白樺林をモチーフとした文字盤を持つモデルが、他にも多数存在する。しかし、そのなかでも「白樺モデル」と呼ばれているのはRef.SLGH005とRef.SLGA009のふたつだけであり、それ以外は厳密には「白樺モデル」ではない。

ふたつの“白樺モデル”の違い
Ref.SLGH005とRef.SLGA009は、搭載するムーブメントの種類が異なっている。Ref.SLGH005が機械式ムーブメントを搭載しているのに対し、Ref.SLGA009が搭載しているのはスプリングドライブムーブメントである。

フランクミュラー スーパーコピー代引き専門店またふたつのモデルは、モチーフとなった白樺林の場所も違う。グランドセイコーの機械式時計とスプリングドライブモデルは別の工房で製造されており、それぞれが製造拠点の近くに群生する白樺林をインスピレーションソースにしているのだ。

Ref.SLGH005とRef.SLGA009を比べると、文字盤のデザインや色味も少し異なっていることが分かる。これは、それぞれの白樺林が持つイメージの違いを、文字盤のデザインや色味で表現しているためだ。

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGH005
グランドセイコーの白樺モデルのうち、機械式時計として登場したのがRef.SLGH005である。デザインやムーブメントの特徴を詳しく見ていこう。

グランドセイコー SLGH005

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGH005
自動巻き(Cal.9SA5)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.7mm)。10気圧防水。127万6000円(税込み)。

岩手県の白樺林をモチーフにした文字盤
Ref.SLGH005の文字盤は、岩手県の白樺林をモチーフにしている。グランドセイコー機械式モデルの製造拠点である「グランドセイコースタジオ 雫石」の近くに群生する、日本屈指の白樺林だ。

力強く壮麗なイメージを放つこの白樺林を、白樺の樹皮のような型打模様と雪を思わせる銀白色で表現している。

Ref.SLGH005とRef.SLGA009の文字盤を比較すると、Ref.SLGH005の方が文字盤の凹凸が強調されているため、よりダイナミックな印象を受ける。

グランドセイコー SLGH005

力強い型打ち模様と繊細なカラーリングによって、グランドセイコースタジオ 雫石の近くにある白樺林が見せる神秘的な光景を表現した、Ref.SLGH005の文字盤。その有機的なパターンと、エッジの効いたインデックスや針との組み合わせからは、グランドセイコーの独創性も感じられる。

機械式ムーブメントCal.9SA5を搭載
Ref.SLGH005に搭載されているCal.9SA5は、20年に誕生したグランドセイコー専用の機械式ムーブメントだ。

主ゼンマイの伝導効率を飛躍的に高めるデュアルインパルス脱進機と、慣性モーメントが大きいテンプの搭載を可能にしたツインバレルにより、3万6000振動/時のハイビートでありながら最大巻上時約80時間のパワーリザーブを発揮する。

水平輪列構造により薄型化を実現させている点も特徴である。さらに、重心位置を下げることで、より快適な装着感が得られるようになっている。

裏蓋から見える「雫石川仕上げ」
裏蓋から見えるムーブメントの仕上げに凝っている点も、グランドセイコー白樺モデルの魅力だ。

Ref.SLGH005の裏側には、季節の変化に富んだ雫石川の流れをイメージした、繊細なストライプ模様の「雫石川仕上げ」が施されている。

グランドセイコー SLGH005

3万6000振動/時の高振動でありながら約80時間のパワーリザーブを確保し、薄型化も実現したCal.9SA5を搭載。ムーブメントには雫石川の流れに着想を得たストライプ模様も施され、文字盤と同様、雄大な自然の情景を表現している。

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGA009
Ref.SLGA009は、グランドセイコー独自のスプリングドライブを搭載した白樺モデルである。Ref.SLGH005と比較しながら、Ref.SLGA009の特徴や魅力を紹介する。

グランドセイコー SLGA009
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGA009
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RA2)。38石。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.8mm)。10気圧防水。127万6000円(税込み)。

長野県の白樺林をモチーフにした文字盤
グランドセイコーのスプリングドライブモデルは、長野県の「信州 時の匠工房」で製造されている。Ref.SLGA009の文字盤のモチーフになっているのは、この工房近くにある日本有数の白樺林だ。

Ref.SLGH005が壮麗で力強い白樺林を表現しているのに対し、SLGA009ではスプリングドライブの流れるような針の動きに呼応するかのような白樺林の静けさを表現している。

Ref.SLGA009の文字盤はRef.SLGH005より凹凸が少なく、上品な印象を受ける。Ref.SLGH005が「動」を感じさせるのに対し、Ref.SLGA009は「静」を表現したモデルといえるだろう。

グランドセイコー SLGA009

Ref.SLGA009の文字盤に表現されているのは、「信州 時の匠工房」の近隣に広がる広大な白樺林。Ref.SLGH005よりも凹凸の少ない、繊細な型打ち模様を施すことで、雪深い白樺林に漂う静謐な雰囲気を表現した。

スプリングドライブムーブメントCal.9RA2を搭載
独自ムーブメントのスプリングドライブは、機械式とクォーツ両方の要素を併せ持つ駆動システムである。主ゼンマイの動力のみでクォーツと同等の精度を発揮する一方、電池やモーター、蓄電池は内蔵されていない。

SLGA009に搭載されているCal.9RA2は、20年に誕生した高性能スプリングドライブムーブメントCal.9RA5と同等のスペックでありながら、パワーリザーブ表示を裏側に配することで薄型化に成功したムーブメントだ。

大きさの異なるふたつの香箱を並べて配置した「デュアルサイズバレル」により、従来の約72時間を大幅に超える、約120時間のロングパワーリザーブを実現している。

裏蓋から見える「信州霧氷仕上げ」
Ref.SLGA009の裏蓋からは、スプリングドライブの製造拠点である信州の自然に敬意を込めた、信州霧氷仕上げを堪能できる。

受の表面に施された梨地加工で霧氷を表現し、受の稜線や端面、穴に施されたダイヤモンドカットでは夜空にきらめく星のような深遠な輝きを実現している。

インジケーター針とネジには、Ref.SLGH005では使われていないブルースティールを採用し、Ref.SLGA009ならではの静謐(せいひつ)なイメージをより強調している。

グランドセイコー SLGA009

デュアルサイズバレルの採用によって、約120時間ものパワーリザーブを確保するとともに、平均月差±10秒の高精度も実現したスプリングドライブムーブメントCal.9RA2を搭載。ケースバックからは厳寒期の信州地方で見られる霧氷を表現した信州霧氷仕上げが確認でき、Ref.SLGH005とは異なる繊細な表情が楽しめる。

2024年にも、新しい白樺モチーフの文字盤が登場
2024年にも、白樺の樹皮(バーチバーク)をモチーフとしたモデルが登場している。「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート 36000 80 Hours」だ。

グランドセイコー エボリューション9 SLGW003
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート 36000 80 Hours」Ref.SLGW003
手巻き(Cal.9SA4)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。ブリリアントハードチタンケース(直径38.6mm、厚さ9.95mm)。3気圧防水。152万9000円(税込み)。
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル SLGW002」
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」Ref.SLGW002
手巻き(Cal.9SA4)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KPGケース(直径38.6mm、厚さ9.95mm)。3気圧防水。世界限定80本(うち国内50本)。605万円(税込み)。
新型ムーブメントCal.9SA4とともにリリースされたモデルで、「心地よい巻上げ感と音」を追求した手巻き時計だ。この巻き上げのためにコハゼが新規設計されたことや、コハゼがグランドセイコースタジオ 雫石の敷地内でも見ることのできるセキレイという鳥をイメージされていることなどで、大きな話題となった。

セキレイをモチーフとしたコハゼ。コツコツといった巻き上げの感触を楽しめることはもちろん、このコハゼや、雫石川の流れを表現したストライプ装飾を施したムーブメントをトランスパレントバックから観賞することができる。
このふたつの新しい手巻きモデルの文字盤が、Ref.SLGH005のように、岩手県の白樺林をイメージした文字盤となっているのだ。もっともRef.SLGH005とは異なり、パターンは横方向にあしらわれている。

現在グランドセイコーのオンラインブティックではどちらも売り切れとなっているものの、今後もこういった“白樺モデル”の選択肢が豊富になることを、期待せずにはいられない。

白樺モデルの魅力を堪能しよう
文字盤で白樺林を表現した白樺モデルRef.SLGH005とRef.SLGA009は、それぞれに異なる特徴や魅力が備わっている。白樺林が持つイメージだけでなく、ムーブメントの種類も違う。

それぞれのモデルを比較してお気に入りの1本を手に取り、独特の雰囲気を醸し出す白樺モデルの魅力を堪能しよう。

30年以上にわたって時計業界を取材してきたジャーナリスト菅原茂氏による、

第5回は、ラ・ショー・ド・フォンを代表するブランド、エベルを取材した記録だ。3度にわたって訪れた本社で、菅原氏がとりわけ強く印象に残った言葉とは? なお、この地で出合ったという“謎多きクロノグラフ”も必見だ。

時計産業都市ラ・ショー・ド・フォンから、エベルを振り返る
スイスの時計産業は、ジュネーブやジュラ山脈の山中に開けた平地で発展した。ラ・ショー・ド・フォンもそのひとつ。1990年代半ばから2000年代始めの頃は、バーゼルとジュネーブで開催された時計展示会の期間中に宿泊や取材でよく訪れた。18世紀末の大火で焼失した街を時計産業都市として計画的に整備して復興を遂げたことからユネスコ世界遺産に登録されているが、今や近郊にはカルティエをはじめいくつもの工場が立ち並び、すっかり近代的な時計産業都市へと生まれ変わった。1990年代のラ・ショー・ド・フォンを代表するブランドとなると、ジラール・ペルゴとエベルが双璧だろう。ジラール・ペルゴは1852年、エベルは1911年にそれぞれここに工場を構えた。今回はまずエベルを振り返る。

時の建築家とクロノグラフ
エベルについては銀座和光が代理店だった時代から知っていたが、ジュエリー誌の編集に携わっていた当時はハイソな顧客向けの洒落た時計というイメージでとらえていた。欧米ではロレックスを凌ぐ人気を誇り、著名人に愛用者も多かった。1990年代は輸入商社の日本シイベルヘグナー(現DKSH)が扱い、日本における認知度もぐんと高まった。エベルといえば、ブランドが掲げる「THE ARCHITECTS OF TIME 時の建築家」が有名だ。スポーティーエレガンスをコンセプトにした、モダンでラグジュアリーな時計を得意とするエベルの世界観を伝えるのが、簡潔ながらも意味深長なこの言葉なのだった。

IWCスーパーコピー代引き専門店手元にあった古い資料を参照すると、あの滑らかな曲線にビスのアクセントを配した、ひと目で分かるアイコニックなデザインは、1977年の「スポーツクラシック」に始まり、以下の機械式クロノグラフに受け継がれていたことが分かる。すなわち「スポーツ クロノグラフ」(1982年、エル・プリメロCal.400)、「パーペチュアルカレンダー クロノグラフ」(1983年※、エル・プリメロがベースのCal.136)、「ル・モデュロール」(1995年、レマニア共同開発Cal.137)である。こうして振り返ると、世界でクォーツが全盛を迎え、機械式時計、ましてや機械式クロノグラフがふるわなかった1980年代に、スタイリッシュなデザインによるこれらのモデルそれを発表していたエベルは、スイス時計産業では異色の存在だったと言えるだろう。(※発売は1984年)

1980年代から1990年代半ばまでエル・プリメロCal.400を搭載して人気を博したエベル「スポーツ クロノグラフ」。筆者のモデルは、オフホワイトのダイアルに18Kゴールドの針とインデックスを配し、微細なヘアライン仕上げのステンレススティールに18Kゴールドのベゼルを組み合わせたもので、けっこう高級感がある。独自のビス留めによるクロコダイルストラップ、専用のデプロワイヤントバックルも「時の建築家」らしい計算されたデザインだ。

ダイアルデザインそのものはクラシカルだが、すっくと立つベゼルの内側に配されたタキメータースケールや、ケースに埋め込まれたゴールドのビスがスポーティー感を巧みに演出。クロノグラフは、3万6000振動/時のエル・プリメロならでは10分の1秒計測を可能にする。

エベル本社を3度にわたって取材する
そんなエベル(バーゼル見本市や本社では、EBELをイーベルと発音する者が多い)の時計づくりをこの目で見てみたいと思い、1994年春に工場を初めて訪れた。バーゼル94の会場取材を終え、ラ・ショー・ド・フォン名物の国際時計博物館の見学を終えた翌日のことだった。本社工場でムーブメントやユニークな形状のケースについて取材させてほしいと申し出ると、案内者は「撮影はこちらの許可したところだけを厳守してほしい」と言う。エベルはパリの有名宝飾ブランドも手掛けていた。フランコ・コローニの「TANK」に関する著書にもはっきり書いてあるように、1990年代の終わりまでカルティエ向けのクォーツムーブメントを作っていたのである。もちろんそうした現場は見せなかったわけだが、エベルの製造ラインでも結局撮影はできず、広報画像(当時は35mmポジフィルム)や資料をもらうことになった。

ヴィラ・テュルク

「時の建築家」エベルがゲストハウスに使用していた、建築家ル・コルビュジェの設計による「ヴィラ・テュルク」の前で。外壁を成すレンガの色は、ブランドカラーとして時計の収納ケースやレザーグッズ、パンフレットなどに用いられた。
 工場見学を終えて、社屋近くの建物へと案内された。かの有名な建築家ル・コルビュジェの設計による1910年代の「ヴィラ・テュルク」である。それは「時の建築家」のエベルにとって象徴的な建物だ。エベルはラ・ショー・ド・フォンのランドマークのひとつに数えられるこの瀟洒な歴史的建造物を1986年に購入し、プライベートなゲストハウスとして利用していた。筆者は1995年、1996年と2回もヴィラ・テュルクに宿泊する機会に恵まれた。優雅なヴィラの中でゆったり過ごした時間はとりわけ格別だった。

クロノグラフムーブメントの刷新
さて1996年、エベルの本社訪問3回目は、バーゼル95で発表された最新クロノグラフ「ル・モデュロール」に搭載された新型ムーブメントの徹底取材が目的。対応していただいたのは、技術部のフランソワ・ジラルデとジャン・クロード・ドラプレスの両氏、そしてエベル・ウォッチの造形美を創作するデザイナーのベン・ショダー氏。先に述べたように、1980年代にさかのぼるエベル「スポーツ クロノグラフ」の搭載ムーブメントは、ゼニスのエル・プリメロCal.400を自社仕様にアレンジ。同時代のロレックス「デイトナ」はCal.400を改造したものだから、似たもの同士と言えなくもない。しかし、エベルは、1960年代に設計されたエル・プリメロに残る古い構造に満足できず、何年も前から新型ムーブメントの開発に取り組んでいたという。

ジラルデ氏の発言で今でも強く印象に残っているのは「コラムホイールは時代遅れだ!」という言葉である(今ならどうだろう?)。彼は、パーツの徹底した削減と統合により、コンパクトで高性能のクロノグラフムーブメントCal.137を完成させた胸を張る。さらにCOSC認定クロノメーターの高精度も特徴になった。ちなみにレマニアと共同開発したとの説明もあったことを加えておく。当時の自動巻きクロノグラフムーブメントとしては非常に優秀なこのCal.137を搭載し、時計全体のデザインをさらに洗練させた「ル・モデュロール」は、その後「1911クロノグラフ」と名を変えて人気を博したわけだが、ブランドのあれやこれやのオーナーシップの変転に続いて、2012年にムーブメントのCal.137がユリスナルダンに売却されたと知って愕然とした。あのクロノグラフが終わったとは!

謎多きクロノグラフ「De Berccy」との出合い
最後にラ・ショー・ド・フォンの思い出として、おまけをひとつ加えよう。1996年にエベルを取材したときのエピソードである。街の裏通りを散歩中に見つけた小さな店で出会ったクロノグラフだ。陶器やブリキのおもちゃが並ぶ中に飾られた3本のクロノグラフは、ケースやダイアルのディテールに凝った趣味性豊かなデザインで、シースルーバックから見える自動巻きムーブメントにも彫金と金メッキ仕上げが施され、時計好きを魅了するなかなかの演出に目が留まった。さすがに時計産業都市、街にたくさんの存在する工房を利用して好みのパーツを組み上げれば、こんな特別感のある時計が作れるのかもしれない。そう考えると、このクロノグラフはラ・ショー・ド・フォンの縮図と言えるのではないか。

ラ・ショー・ド・フォンの小物店で見つけた、時計師の個人ブランドとも呼べるクロノグラフ。ダイアルに書いてある「De Berccy」がブランド名なのか、モデル名なのかは不明。コンプリートカレンダー、ムーンフェイズ、24時間式デイナイトなど、複雑時計の汎用ムーブメントとしては多機能を誇り、有名ブランドでも使われている自動巻きETA7751を搭載。
 店の奥の作業台で作っているのは年配の男性。名刺の名はベルツキと読むのか、まあそんな感じで、時計のスペシャリストという肩書が添えてあった。後にバーゼルでダービー&シャルデンブランを取材していたときに判明したのだが、この謎の時計師さんは、ダービーのマスターウォッチメーカーなのだった。そういえば金メッキ仕上げのムーブメントはダービーによく似ている。エベルで最新のクロノグラフを見た後に、まったく対照的なヴィンテージスタイルのクロノグラフもいいなと思い、さっそく購入を決意。値段は900スイスフラン(当時のレートで8万円ほど)だから、コスパ抜群というところだろう。いい買い物になった思い出のクロノグラフは、あれから30年が経った今でも現役。たまに着けて楽しんでいる。

シースルーバックから見えるETA7751のカスタマイズも圧巻だ。高価なモデルには及ばないにしても、パーツの彫金と金色仕上げ、繊細なヘアラインとオープンワークを組み合わせたローター、本物の青焼きか単なる色付けか分からないが、とにかく青いビスなどに思わず見入ってしまう。DBは時計師さんのイニシャルらしいが……。

グルネ仕上げのざらっとした艶消しダイアル、3つのサブダイアルに施されたサーキュラー模様、ゴールド色の針と楔形のアプライドインデックス、顔が描かれたムーンフェイズ、ブルーの数字などが時計好きの目を楽しませる。さらに、ベゼルリングにゴドロン模様、ミドルケースにコインエッジの装飾を加え、ラグはいわゆる「コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ」型とまあ、よくぞここまで凝ったものだと感心する。

グランドセイコー SLGW003 エボリューション9 コレクション 新作

日本のブランドとして唯一、Watches & Wondersへ参加するグランドセイコー。会場では今年も実にさまざまな新作が発表された(Watches & Wonders 2024のグランドセイコーブースから発表された新作を紹介した動画もあるのでチェックしてみて欲しい)が、そのなかでも多くの業界関係者から注目を集めていたのが、グランドセイコー SLGW003、エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデルだ。

ウブロスーパーコピー代引き 優良サイト優れた性能だけが魅力ではない。雫石の自然から発想を得たムーブメント
その名が示すように、本作が搭載するのは3万6000振動/時(10振動)の手巻きムーブメント。約50年ぶりになるという10振動の手巻きCal.9SA4だ。これは2020年に登場した自動巻きのCal.9SA5をベースに開発されたムーブメントで、動力ぜんまいからの動力を効率よく調速機構に伝えるデュアルインパルス脱進機、安定した精度を長期にわたって持続するのに適したグランドセイコーフリースプラング、テンプの振り角が変化しても精度に変化が起きにくい巻き上げひげ、そしてふたつの動力ぜんまいを備えたツインバレルなど、Cal.9SA5の持つ特徴を踏襲。グランドセイコー独自の規格に基づく安定した高い精度とロングパワーリザーブをCal.9SA4においても実現している。

Cal.9SA4とは、単にCal.9SA5を手巻き化したものなのかというと、実はそんなことはない。Cal.9SA4では究極の巻き心地を目指し、巻き上げ時の心地よい感触と音を実現するため、こはぜとこはぜばねの構造が再設計された。加えて巻き上げの負担を減らすために手巻きの輪列も見直され、ベースとなったCal.9SA5に比べて巻き上げ回数を約15%削減した状態にもかかわらず、同等の巻き上げ効果が得られるようになっているという。さらに裏蓋側にCal.9SA5にはなかったパワーリザーブインジケーターを追加したことで、持続時間の残量目安も分かるようになった。

岩手県雫石町にあるグランドセイコースタジオ 雫石。

グランドセイコーの機械式モデルが作られるのは、岩手県の雫石町にあるグランドセイコースタジオ 雫石だ。ブランドではこれまでにも、豊かな自然から得たインスピレーションをそのウォッチメイキングに生かしてきた。もちろん本作においても、そうした表現がディテールに盛り込まれている。たとえば、ムーブメントの受けに施された繊細なストライプ模様は、スタジオ近くを流れる雫石川の流れを表現したものだそうだ。そして、これまでのグランドセイコーには見られなかったような遊び心あふれるディテールを持つ点こそが、Cal.9SA4における最大の見どころとなっている。その詳細については動画のなかで詳しく解説をしているので、ぜひともチェックしてみて欲しい。

エボリューション9の新機軸となるSLGW003のスタイル

ダイヤルのデザインモチーフである白樺林。

SLGW003は、グランドセイコーのなかでも人気の高い“白樺”ダイヤルシリーズに加わる新しいバリエーションだ。既存の白樺ダイヤルには、自動巻きのCal.9SA5を搭載したSLGH005とスプリングドライブムーブメントのCal.9RA2を搭載したSLGA009がある。

どちらも白樺林を表現したものではあるが、SLGH005は岩手県雫石町の「グランドセイコースタジオ 雫石」、一方のSLGA009はスプリングドライブモデルが作られる長野県塩尻市にある「信州 時の匠工房」の近くに群生する白樺林と、それぞれインスピレーションの源泉は異なる。さらに前者はその力強さをダイナミックな陰影で、後者は静けさを繊細な陰影で表現しており、白樺ダイヤルとひと口に言っても、実は似て非なるダイヤルとなっている。

では、新作となるSLGW003の白樺ダイヤルはどうか。既存モデル(SLGH005とSLGA009)のダイヤルが高く伸びた白樺が奥行きを持って幾重にも林立する光景を縦に走る型打模様で表現したのに対して、SLGW003では凹凸が不規則に連なる白樺の樹皮の美しさを横に走る精緻な型打模様で表現された。同じ白樺モチーフでありながら、こちらも既存モデルのいずれともその表現は異なり、与える印象もずいぶん違っている。

印象が異なるふたつの白樺ダイヤル。写真左は既存モデルのSLGH005、右は新作のSLGW003だ。

加えて言えば、その印象の違いはモチーフの違いだけに起因するものではない。既存の白樺ダイヤルモデルとなるSLGH005とSLGA009は、どちらかと言えば日常的につけられるスポーティな時計として表現されているのに対し、新作はエボリューション9(E9) コレクション共通のデザイン文法である「E9スタイル」に則りつつも、日常的につけられる“ドレスウォッチ”として表現されているのだ。そのため、SLGW003ではインデックスやベゼル、ラグの幅をすっきりと細くするなどデザインを改め、手巻きドレスウォッチとして仕立て直されてた。写真で見比べてみると、その違いがよく分かるだろう。

見た目はもちろん、スペックや使われる素材にもその違いは表れている。まずSLGW003は自動巻きローターがない手巻きゆえに薄くなるのは当然ではあるが、ケース厚は9.95mmと10mmを切る(ちなみにSLGH005のケース厚は11.7mm、SLGA009は11.8mmだ)。手巻きドレスウォッチというスタイルにおいてもE9 コレクションならではの快適な装着性を実現するため、手首にしっかりホールドするように重心は低く設計されている。

さらにケース素材には、通常のチタンと同様の軽さを持ちながら、標準的なステンレススティールよりも約2倍も硬く、傷がつきにくい“ブリリアントハードチタン”を採用する。このチタン素材には一般的なチタンに見られる特有のグレーがかった色味はなく、熟練の研磨師がザラツ研磨を駆使して磨き上げることで上質な輝きを持つ。軽くて美しい、まさにドレスウォッチにふさわしい素材だ。

2017年にグランドセイコーのために開発されたブリリアントハードチタンは、これまで初代グランドセイコー デザイン復刻モデルのSBGW259やKodo コンスタントフォース・トゥールビヨン(SLGT003)などでしか用いられていなかった特別な素材だが、それを本作に採用したということからもブランドの特別な思いが見て取れる。

レザーストラップ仕様のSLGW003ではワンプッシュ3つ折れ方式デプロイメントバックルを採用するが、こちらもケース同様にブリリアントハードチタン製だ。

グランドセイコーらしくも、新たな魅力を示した意欲作

グランドセイコーでは、デザインを規定する独自のデザイン文法であるE9スタイルに則り、審美性、視認性、装着性という3つを軸として時計がデザインされる。要するに美しく、見やすく、つけ心地に優れた時計であることがグランドセイコーであることの必須条件なのだ。SLGW003のスタイルは既存モデルとは異なる部分もあるものの、このE9スタイルに照らし合わせて見れば、間違いなくグランドセイコー“らしい”時計である。

その一方で、一般的なドレスウォッチのデザインコードからすると、SLGW003のそれはずいぶんセオリーとはかけ離れたものと言える。前述のブリリアントハードチタンをはじめ、秒針と分目盛りを持つところや、それこそ白樺ダイヤルのような主張の強い装飾は、数多あるドレスウォッチとは一線を画す要素だろう。そのため、ドレスウォッチという表現にいささか違和感を覚える人は少なくないかもしれない。だが、今回SLGW003の実機レビューを通して感じられたのは“こんなドレスウォッチがあってもいいだろう?”、“これがグランドセイコー流のドレスウォッチなんだ”という、グランドセイコーの作り手たちの思いだ。

グランドセイコーに対して、実用性重視の真面目な時計というイメージを抱く人は多いことだろう。しかしこのSLGW003には、グランドセイコーはそれだけが特徴の時計ではなく、人の感性に訴えかけ心を引き込む、そうしたところもグランドセイコーが持つ側面なのだということを広く示そうという強い意志を感じることができた。ぜひとも動画と合わせて、SLGW003が持つ魅力を読者のみなさんにも感じ取ってもらえたら幸いだ。

ティファニーが秘めるウォッチメイキングの可能性

アメリカ唯一の伝統的なラグジュアリーブランドであるティファニーはハイジュエリーウォッチに力を注いでいるが、さらに幅を広げる余地があるのではないだろうか?

アメリカの高級小売店のなかで、真に存在感を誇るものは少ない。バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)やサックスフィフスアベニュー(Saks Fifth Avenue)がニューヨークのデパート業界で支配的な位置を占めるなか(バーニーズは惜しまれつつも閉店した)、ティファニーはアメリカの高級ショッピング体験の最前線に立ち続けている。2021年にLVMHに買収されたことで、ティファニーの青い箱と白いリボンのブランドは再びある程度の存在感を取り戻した。

パテックフィリップスーパーコピー販売おすすめ優良サイトスーパーボウルを含む数々のスポーツイベントの勝者にトロフィーを授けてきた歴史を持つオールアメリカンブランドが、2020年代のポップカルチャーに新たな足場を築いたのはどうしてだろうか? もちろん、ビヨンセ(Beyonce)とジェイ・Z(Jay-Z)を広告カップルに起用したからである。それに加えて、レッドカーペットを彩る大スターたちのドレスアップ、NFT、手ごろな価格で新たな顧客を引き込む人気のユニセックスの“ロック”ブレスレットコレクション、そしてパテック フィリップやシュプリーム、ナイキ、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)との話題性のあるコラボレーションを行い、LVMHが何世紀も続くブランドに若々しいエネルギーを注入しようとする大規模な取り組みも見てとれる。

ティファニーにはあらゆる市場セグメントでジュエリーを販売するブランド力がある。伝統、再び得た現代的な価値、そして大量の洗練されたマーケティングは、販売のための人口層が広いことを意味する。ではウォッチメイキングにおいてはどうだろうか? ティファニーは現在女性向けのハイジュエリータイムピースに注力している。4月にはプラチナ製のクォーツバード オン ア ロックウォッチと、バード オン ア フライング トゥールビヨンを、今年のセレステ ブルーブック コレクションの一部として発表した。これらのデザインは、1965年にジャン・シュランバージェ(Jean Schlumberger)が制作したバード オン ア ロックブローチに着想を得ている。ティファニーの伝統であるが、シュランバージェのデザインはティファニーのハイジュエリーウォッチとしてはある程度予想されるモチーフである。美しいが、予想の範囲内であると言えるのだ。

Tiffany Bird On a Rock Watch
 だがこのフライング トゥールビヨンは、ティファニーがハイウォッチメイキングの進化において明確な1歩を踏み出したことを示している。文字盤上で“飛翔”するダイヤモンドがあしらわれた2羽の鳥は、ジェムストーンの象嵌、ゴールドの彫刻、そしてスノーセッティングを駆使してつくられており、これらはすべてラ・ファブリク・デュ・タンで行われた。特注ムーブメントであるCal.AFT24T01は、ティファニーのクリエイティブディレクションのもと、スイスの革新的な高級時計マニュファクチュール、アルティム(Artime)によって開発された。このハイウォッチメイキングへの非常に有効な挑戦は、ティファニーにとってさらに大きな展開を予感させるものなのだろうか? 時計のデザインには、古風で夢のある要素がふんだんに盛り込まれている。これは高級ジュエリーウォッチデザインでは定番ともいえる手法だ。ヴァン クリーフならバレリーナ、エルメスなら馬、そしてティファニーならシュランバージェの鳥が象徴的なモチーフとなっている。ハイジュエリーに隣接するウォッチメイキングに依存し、比較的高年齢層で景気に左右されにくい顧客に向けるのは理にかなっている。どのようなブランドであれ、女性向けにトップレベルの技術や複雑機構に焦点を当てるのには大いに期待したいところだが、明確に性別を意識しない、かつ価格帯の低い時計が登場するのはいつになるのだろうかと考えさせられる。

Tiffany Flying Birds On a Rock
 競合他社であるブルガリやエルメスがウォッチメイキング分野で果敢に挑戦を続けている一方で、ティファニーは比較的静かな状況にある。“ティファニーは理論上、時計市場で大きな成長の可能性を持っているが、今のところその機会はまだ活かされていない”と、バーンスタイン・リサーチ(Bernstein Research)のラグジュアリー部門マネージング・ディレクターであるルカ・ソルカ(Luca Solca)氏は説明する。“このカテゴリーを開拓する鍵は、ラインナップを整理し、ひとつか多くてもふたつの差別化された製品に集中することだ。これはブルガリがオクトとセルペンティで、シャネルがJ12で成功させた手法と同じだ”。ソルカ氏は、新たな経営陣がこのカテゴリーにいずれ取り組むだろうと期待しており、“やるべきことリスト”をこなすにつれて対応されるだろうと述べている。

 確かにティファニーは最近、注目すべき取り組みを行っている。昨年の夏にはバード オン ア ロックモデルとともに、ハードウェアコレクションをベースにしたゴールド&スティールの時計を発表した。同シリーズはクッションカットのティファニーダイヤモンドをほうふつとさせるケースシェイプと、ファセットの入ったサファイアクリスタルが特徴だ。これはソルカ氏が指摘した、ティファニーらしい差別化された製品として十分に強いデザインかどうかは不明だが、この取り組みこそ同社の時計セグメント拡大の瀬戸際にあることを示している。

Tiffany Hardware watch
ティファニー ハードウェア ウォッチ

 ではこのように競争が激しい市場のなか、アメリカの伝統ブランドであるティファニーはどのように自らを位置づけているのだろうか? ティファニーには、ウォッチメイキングの大規模な取り組みを支える歴史的な実績がある。彼らはアメリカ市場でパテック フィリップ初の公式小売パートナーとなり(正式な関係は1854年に始まった)、その後170年以上にわたってパートナーシップを続けている。さらに、1874年にはジュネーブにかなり大規模な自社工場を設立し、1878年にその施設をパテックに売却した。この譲渡には理由がある。この施設を引き渡すことでティファニーウォッチに最上級のムーブメントを供給できるようにし、アメリカ市場でティファニーが独占販売するパテック フィリップウォッチの品質を確保するためであった。

 1930年代の大恐慌から1980年代にかけて、ティファニーは自社の時計製造を一時停止していたが、そのあいだもロレックスやパテック フィリップ、IWC、モバードなどの時計を取り扱う小売業者としての足場を固め続けた。そして2024年、ティファニーサイン入りのダイヤルは今やきわめて貴重な存在となっている。これにより、理論上は時計ブランドのダブルサインなしでもティファニーブランドのダイヤルをコレクター層に売り込むことが容易になる可能性がある。ティファニーという名前は、時計業界で歴史的な重みを持ち、ダイヤル上で違和感がなく目の肥えた人にも受け入れられる存在である。

Tiffany classics
Tiffany Classics
 1980年代に、ティファニーは再び“インハウス”での大規模な時計製造に回帰した。これは理にかなっている。クォーツショックの不確実な時期には製造を一時停止し、市場が回復したときに再開して需要が高まった際に大量生産を行うという流れだ。アメリカの最も権威ある高級小売業者であるティファニーは、“ファッションウォッチ”という教科書的な定義を避けてきたが、1980年代のクォーツブームに便乗したのも事実である。時代が進むにつれ、ティファニーのモダンウォッチへの進出も進化した。この時期は繁栄の時代であり、スイス製の高級輸入モデルを販売する一方で、“クラシック”コレクションの時計も大成功を収めていた。1980年、オノ・ヨーコが宝石で飾られたアメリカ国旗のピンやパテックのRef.2499を手にした一方で、一般の顧客は“ティファニー”とだけ刻印されたエレガントな金無垢の“クラシック”コレクションウォッチを買い求めた。

Breuer Classique watch
ブレゲ Ref.4485 ゴールドリストウォッチ ティファニーネーム

 1980年、ティファニーが完全に独自でデザインした最初の新世代ウォッチはクォーツムーブメントを搭載しており、外観的にも(そして精神的にも)ブレゲのドレスウォッチの美学に通じていた。ティファニーは1981年、より大衆市場に進出しようとしていたブレゲウォッチの販売を開始。ティファニーは、アメリカでブレゲの時計やクロックを取り扱った初の、そして唯一の企業であり、自社の名前をブレゲ製品に刻印することを許された唯一の小売業者でもあった。

Tiffany Breguet Classique
ブレゲ クラシック “ティファニー”。Image: courtesy of Analog:Shift

 アトラスウォッチは1983年に登場した。そのデザインは、初期のタウンホールや教会の時計塔にインスパイアされ、フラットにカットアウトされた金メッキ数字が、マットな石の背景と対比するデザインとなっていた。1982年に発表されたラウンドケースウォッチはフラットな背景にクリーンなラインで構成された時間表示で、ポリッシュ仕上げされたローマ数字インデックスが、浮き彫りのように立体的で際立っていた。1853年からティファニーのニューヨーク本店の正面に飾られている時計にちなんで名づけられたアトラスコレクションは、1990年代にはジュエリー、ペン、アクセサリーへと拡大した。アトラスウォッチ(およびジュエリー)は今でもカタログに掲載されているが、オリジナルの滑らかなコイン型のラウンドシェイプを控えめにしたデザインに変わっている。もしかすると、復刻版のタイミングが来ているのかもしれない。ブルガリ・ブルガリが今年初め、オリジナルに近い仕様で再発売されたことを思い出していただければ理解しやすいだろうか。

Tiffany Atlas watch
1983年10月のタウン・アンド・カントリー誌に掲載されたアトラスの広告。

 モノグラム入りの時計(以下の写真)は、1980年代のプレッピーな美学を完璧に象徴している。当時のアメリカのエリート層向け高級ファッションは、カジュアルでWASP(白人アングロサクソン系プロテスタント)的なフォーマルさを備えており、ブルックスブラザーズのボタンダウンシャツやポロシャツ、チノパン、ローファーといったスタイルがその典型だった。そしてそこにはパワードレッシング(職場での権威や自信を示すために1980年代に広まった、フォーマルで洗練されたビジネスファッション)もあった。1980年代のニューヨーク(および類似の大都市圏)におけるこの層を、平日はウォール街、週末はカントリークラブへと続く一貫したファッションスタイルを持つサルトリアと呼べるだろう。

Tiffany monogram watches
 アメリカンファッションは1980年代についに世界的な地位を確立した。この新たな地位は、アメリカ国内で生まれたファッションを世界的に通用させるために、10年間にわたって懸命に努力してきた結果である。ホルストン(Halston)、ジェフリー・ビーン(Geoffrey Beene)、ビル・ブラス(Bill Blass)、そして彼らのセブンスアベニューの仲間たちは、1970年代にアメリカのファッションを新たな高みに押し上げた。ナンシー・レーガン(Nancy Reagan)からグロリア・ヴァンダービルト(Gloria Vanderbilt)、ブルック・シールズ(Brooke Shields)に至るまで、元ワシントン・ポスト紙のファッション評論家ロビン・ジヴハン(Robin Givhan)がかつて“アメリカンスタイルは、社交界の淑女やおてんばな美人によって具現化された”と表現したように、このスタイルが具現化されていた。

 1970年代のボヘミアンな雰囲気から1980年代のグラマーなスタイルへの移行により、カルバン・クライン(Calvin Klein)、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)、ダナ・キャラン(Donna Karan)といったデザイナーたちは国際的なロックスターとなり、広く知られる存在となった。ティファニーは、まさにアメリカンファッションドリームと同義の代名詞となったのだ。

Tiffany Elsa Peretti watch
エルサ・ペレッティのダイヤモンドコレクション。

 ここでエルサ・ペレッティ(Elsa Peretti)の登場だ。彼女はスタジオ54のホルストン派の重要なメンバーであり、そのあとティファニーで最も成功し、認知されるデザイナーとなった。ペレッティがデザインしたのは、オープンハートペンダントやボーンカフだ。彼女は常に、女性が身につけるものとの共生関係を追求しており、クッションカットのティファニーダイヤモンドにインスパイアされたダイヤモンドコレクションの一環として、ウォッチネックレス(通常の時計も含む)を製作した。遊び心のあるクォーツで、スターリングシルバー製のこの時計はペレッティらしい素材のシンプルさが特徴であった。

 パロマ・ピカソ(Paloma Picasso)もまたティファニーのデザイナーとして採用された。彼女は大胆なスケール、強い色彩、そして半貴石という魅力を生かし、“本物の”ジュエリーをモダンなものにした。ピカソは、彼女のグラフィカルなデザインのジュエリーに合わせた時計をいくつかティファニー向けにデザインしている。

Tiffany Paloma Picasso watches
パロマ・ピカソがデザインしたティファニー。

 テソロは1987年に発表され、18Kゴールド、SS、ツートンの完全一体型ウォッチとして登場した。デザインは洗練され、スリムで、きらめくようなポリッシュ仕上げが施されていた。これは80年代後期のスポーティでありながら派手さもあるルックに完全にマッチした。ラグジュアリースポーツウォッチがついに中価格帯に到達し、テソロは間違いなくエベルやタグ・ホイヤー S/el リンクの競争相手であった。

Tiffany Tesoro watches
テソロコレクション。

Tiffany Cordis Collection
ティファニー コーディス コレクション(1996年)は、1940年代のカクテルウォッチをベースにしたもので、18Kホワイトゴールドとイエローゴールドで展開していた。

 21世紀に入ると、ティファニーはこれまでで最高のインハウスウォッチ製造に挑戦した。スイス製のティファニー マークコレクションは、19世紀のティファニー懐中時計にインスピレーションを得たもので、ラウンドとクーペというふたつのシェイプが特徴だった。スタイルはプラチナ、18Kゴールド、SSのモデルがあり、アリゲーターレザーやレザーストラップ、あるいはリンクブレスレットが選べた。クリーンで伝統的なダイヤルには、細長いローマ数字と、丸みを帯びたダイヤモンドポリッシュ仕上げの針が使われていた。ムーブメントは全部で7種類あり、手巻き、自動巻き、月・日・曜日表示とムーンフェイズ付きカレンダー、クロノグラフ、レギュレーター、トゥールビヨン、そしてクォーツが含まれていた。大半のモデルは2サイズで提供され、全部で24のSKUがあった。

Tiffany Mark Collection
マークコレクション。画像はオリジナルカタログから。

 この時点で、ティファニーが本格的に時計製造に取り組んでいる姿が見られるようになる。クーペシェイプ、ジラール・ペルゴのスリーブリッジキャリバートゥールビヨン、そしてレギュレーターの複雑機構などがその例だ。私の見解では、ティファニーのモダンな“インハウス”プロジェクトのなかで最も本格的かつ美的に成功したものだろう。実際に確認したわけではないが、ティファニーのマーク クーペとダニエル・ロートのダブルエリプス型ケースの類似性は注目に値する。ロート時代のブレゲを取り扱っていた唯一のアメリカ小売業者がティファニーであったため、ロートとティファニーの関係がマーク クーペに繋がった可能性もある。だが両者は何の関係もないかもしれない。真相は誰にも分からない。

The Tiffany Mark Tourbillon
ティファニー マーク トゥールビヨン。Image: courtesy of Sotheby's

Tiffany Mark Minute repeater
ティファニー マーク イエローゴールド ミニッツリピーター。Image: courtesy of Sotheby's

 ティファニーには、デザイン性の高い時計を展開するチャンスが十分にある。デザイン性の高い時計は、ほとんどの場合ジュエリーハウスが手がけている。2015年に発表されたCT60のように、1945年にティファニーで販売されたFDR(フランクリン・ルーズベルト)のモバードウォッチに基づいた過去の販売モデルの歴史を引き継ぐこともできるかもしれない。あるいは、ジュエリー分野での専門性に依存するのが最善だろうか? ソルカ氏は、ティファニーのようなブランドにとってハイウォッチメイキングに投資することがブランドの信頼性を高めるために不可欠だと主張している。“それはブランドエクイティ(資産価値)を構築することだ”と彼は述べ、“その結果として、憧れの高級価格帯での販売機会が増え、これが高級ブランドにとっての柱となる。最終的にブランドの品質に対する評価も高まる”と語っている。

 エルメスを見れば明らかだ。エルメスは歴史的にJLCやユニバーサル・ジュネーブを販売していたが、近年はハイウォッチメイキングの成功により、手の届きやすいスポーツウォッチの信頼性も高めている。ブランド認知を得るために、自社の特徴を散りばめた新しい道を築くことは十分に成果を上げる可能性がある。

FDR watch
フランクリン・D・ルーズベルト(Franklin D. Roosevelt)大統領のティファニーサイン入りモバード Ref.44776。

FDR Caseback
(エンゲージメントリングを除いて)1980年代から2000年代にかけてティファニーが広く知られるようになったのは、主に比較的手頃な価格帯のジュエリーによるものであった。エルサ・ペレッティやパロマ・ピカソといった外部デザイナーの影響を受けながら、リターン トゥ ティファニーやティファニー 1837などのコレクションを生み出した。これらはギフトや入門商品、あるいはブランドの勢いと評判を維持するための“慰労品”としてよく機能していた。ティファニーのブランドは基本的に、高級で手の届かないハイジュエリーに対する憧れに基づいていたが、大部分のティファニーの時計も同様のモデルに依存しており、“クラシック”コレクションはティファニーサイン入りのパテックやブレゲを補完する形で展開されていた。

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 結局のところ、ティファニーは自らの立ち位置をよく理解している。“多くの人々は、ティファニーが時計に関して何をしているのか正確には分かっていない。パテックとの共同事業なのか? 自社で時計を製造しているのか? それとも購入しているのか? などね”と、ティファニーオルロジュリー部門の副社長ニコラ・ボー(Nicolas Beau)氏は説明する。“まずは私たちが何をしているのかを人々に理解してもらう必要がある。もちろん、男性用の時計も登場する。ただストーリーをジュエリーから始めるほうがより理にかなっているのだ”。

 では2024年において、最も歴史あるアメリカの高級ブランドであるティファニーは、ヨーロッパの競合他社のなかでどのような立ち位置にいるのだろうか? そしてティファニーはその“アメリカらしさ”をどのように活かして、現代の賢い消費者に訴える独自のアイデンティティを形成できるのだろうか? 今やプレッピーが再びトレンドになっており、Instagramを少しスクロールするだけでヴィンテージラルフ ローレンの広告が懐かしさを呼び起こしてくれる。本格ファッションブランドであるセリーヌやミュウミュウもこの美学を取り入れており、少し手の届きやすいところでは、コンテンポラリーブランドのエメ レオン ドレやスポーティ&リッチが、80年代から90年代のWASP的なルックを(やや皮肉交じりではあるが)中心に据えた美的スタイルを構築している。つい最近、ジェイクルーがプリントカタログを再開するというニュースを読んだところだ。今こそアメリカーナの時代なのだ。デザイン主導の時計に対する強い消費者の需要を加味すれば、ティファニーはウォッチラインナップを強化し、時計部門でのブランドアイデンティティを刷新すれば競合他社に引けを取らない存在になる可能性がある。ペレッティのプレイブック、そして今や世界的に有名なオープンハートペンダントを参考にするのもひとつの手かもしれない。